ヒートアイランド現象と海陸風循環
海陸風循環が都市で形成されるヒートアイランド現象にどのような影響を与えているのかを富山市街地を例に見てみよう.
図は海陸風循環が卓越している日の富山市街地で形成されるヒートアイランド現象の実態を地上観測で調べた結果である.富山湾から富山市街地に侵入する海風は北風成分が卓越しており,海風卓越時(15時)の気温極大域は市街地中心部から南方にずれている.関連して,乾燥域も市街地南部に拡がっている.一方,陸風卓越時(20時)には南風の移流によって,気温極大域は中心部から北北東方向に拡がっている.比湿分布においても気温極大域と良く一致して乾燥域が拡がっている様子がみられる.
このように,海陸風循環の大きな影響を受ける都市においては,海風や陸風の移流効果によって,ヒートランド現象に伴う高温域や乾燥域の形成が大きく左右されている実態が観測された.他の日時も観測を実施したが,移流効果は夜間の観測において典型的に見られた.
2009年9月17日15時(左図)及び10月15日20時(右図)に観測された富山市街地のヒートアイランド現象.
上図が地上気温分布,下図が地上比湿分布.図中のほぼ中央が富山市街の中心部で,青い実線は河川,破線はJRや地方鉄道,路面電車の路線である.
(作成: 久米村秀明)
上図が地上気温分布,下図が地上比湿分布.図中のほぼ中央が富山市街の中心部で,青い実線は河川,破線はJRや地方鉄道,路面電車の路線である.
(作成: 久米村秀明)