Topic16 of j-kawamura

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熱雷発生近傍におけるGPSラジオゾンデ高層気象観測


 2010年7月16日に富山県射水市の富山県環境科学センター敷地内でGPSラジオゾンデによる高層気象観測を実施した. 当日は夏季静穏日であったが大気は不安定で、夕方には富山市内が一時的な雷雨に見舞われた.雷雲は観測点の南方から接近し、すぐ東側近傍を通過した.図は雷雲が東側を通過した直後の観測結果である.

 相当温位の鉛直プロファイルから、地表から高度3,000m付近までは対流不安定の成層をなしていることがわかる.4,000m~5,000m付近に相対湿度が95%を超える湿潤層が観測され、雷雲の縁辺部をゾンデが通過した可能性が考えられる.圏界面は高度14,000m付近に位置していると思われるが、9,500m付近に強い逆転層が見られるのが興味深い.11時および14時の観測では出現しておらず、観測点近傍を通過した雷雲と関連している可能性がある.
 図には示していないが、ゾンデ本体は富山湾沿岸海域に落下したと推測された.

 (観測の際には、環境科学センターの職員の方々に多くの便宜を図って頂きました.厚く御礼申し上げます.)



sonde2010071617.jpg

 図1  2010年7月16日17時にGPSラジオゾンデで観測された各種気象要素の鉛直プロファイル(上図).
   また、ホドグラフとゾンデの移動経路も併せて示した(下図).
(作成: 糟谷 司)