中部日本の日本海側の大雪に関連する爆弾低気圧活動
中部日本の日本海側の大雪発生と密接に関連する日本近海の爆弾低気圧活動について、日本版長期再解析データ(JRA-25)及び気象庁気候データ同化システム(JCDAS)のデータを用いて調べた。
月単位では、多雪時には、爆弾低気圧の経路は太平洋沿岸の黒潮流域と日本海に集中し、少雪時にはその経路は広範囲に分散する傾向がみられた。多雪(少雪)時には冬季東アジアモンスーンは強く(弱く)、モンスーン変動は爆弾低気圧活動の変化を通して日本海側の地域的な月降雪量に影響を与えている。日単位では、ユーラシア北部と南アジアの導波管を通る定在ロスビー波束の伝播(亜寒帯テレコネクション型と亜熱帯テレコネクション型)が、爆弾低気圧の発達を通して、極端な大雪イベントの発生に寄与している。亜寒帯テレコネクション型は東アジアの寒冷な高気圧の発達と南下を促すのみならず、高緯度から赤道方向への高渦位の移流をもたらすことによって日本近海の爆弾低気圧の急速な発達を促進している。両者の発達は日本を横切る海面更正気圧(SLP)の東西傾度を強化し、極端な大雪発生の好適な条件を生み出している。亜熱帯テレコネクション型では、主に爆弾低気圧が単独でSLP傾度を強めることで、極端な大雪が生じている。また、二つのテレコネクション型の間で、爆弾低気圧活動の地理的分布や経路に違いが見出された。
*詳細は下記論文を参照してください。
Yamashita, Y., R. Kawamura, S. Iizuka, and H. Hatsushika (2012): Explosively developing cyclone activity in relation to heavy snowfall on the Japan Sea side of central Japan. J. Meteor. Soc. Japan, 90, 275-295.