Topic16 of j-kawamura

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日本におけるGPS可降水量の季節変化の特異性


 1997年から2009年までの期間について全国規模でGPS可降水量を算出し,その季節変化の気候学的な特徴について調べた.冬期から春期への季節進行と共に可降水量は全国的に増加していくが,西日本では5月末の少雨期の直前に可降水量の増加が停滞し,その後約20mm程度の可降水量の急増に伴って6月中旬に梅雨入り(オンセット)を迎える.オンセット時の最大増加率は1mm/dayを超え、増加率の極大後約10日後に降水量が最大値を示す.また,盛夏期の可降水量の上限値は50mm程度である.秋期に可降水量が急激に減少する時期は西日本では二回,東日本では一回で,特に9月中旬の減少傾向は全国規模である.可降水量の夏期前後の季節変化にみられる非対称性は西日本で特徴的であるが,北海道では8月初めを極大とする対称性が際立っており,可降水量の季節変化に地域的な特徴が見出された.


*詳細は下記論文を参照してください。

糟谷 司・川村隆一,2012: 日本におけるGPS可降水量の季節変化の特徴. 天気, 59, 917-925.

gps_japan.jpg

第1図a:本研究で利用したGPS観測点の分布. b: GPS可降水量の年較差.c: GPS可降水量の月平均気候分布.上段が1月~6月の月平均分布,下段が7月~12月の月平均分布.陰影で値を示し,間隔は1mm.南西諸島と一部の離島は表示していない.