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中部日本のGPS可降水量の日変化

 1996年から2003年の典型的な夏季静穏日を抽出して,中部日本域の山岳域とその周辺の沿岸域についてGPS可降水量の日変化傾向を調べた.

 可降水量の日較差は,山岳域は5~8mm,沿岸域は2~4mmであった.熱的低気圧に伴う地上風収束の最盛期とGPS可降水量の極大には3時間ほどの遅れが生じていた.日変化では,山岳域で可降水量の増加が減少よりも急激である傾向を示し,増加期は山岳斜面に沿う水蒸気輸送とその収束,減少期は山岳上空での一様な水平発散を主に捉えていると考えられる.沿岸域や内陸では可降水量の日変化は一般に不明瞭であったが,濃尾平野や静岡県沿岸においては夜間に可降水量が増加する傾向がみられた.また,盆地内では夜間の可降水量の漸増あるいは一定値を保つ傾向が観測され,局地循環に伴って輸送される水蒸気が盆地上空で局所的に収束している可能性が示唆された.


*詳細は下記論文を参照してください。

大橋喜隆・川村隆一, 2006: 中部日本の夏季静穏日におけるGPS可降水量の日変化. 天気, 53, 277-291.

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14-15時,17-18時,20-21時,23-24時のGPS可降水量偏差(日平均値からの偏差)の空間分布図(解析対象10日間の平均).陰影がGPS可降水量,ベクトルは風向・風速を示す.等値線が標高(500m間隔)で海抜高度2000mまで描写.(作成:大橋喜隆)