Topic8 of j-kawamura

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マイクロ波放射計で観測された海洋上の可降水量の分布

 地球観測衛星搭載のマイクロ波放射計(SSM/I)から、海洋上の可降水量(鉛直積算水蒸気量)の空間分布を推定することができます。下の図は1999 年7月31日のスナップショットですが、日本付近に注目すると日本の東海上で周囲より水蒸気量が少ない領域があります。これは太平洋高気圧の西端で局所的に高気圧が勢力を増しているところに対応しています。局所的な高気圧の強化に伴い、高気圧の西縁に沿って多量の水蒸気が西太平洋亜熱帯域から東シナ海、日本海を通ってオホーツク海まで輸送されていることがわかります。一方、日本の南海上では水蒸気が非常に多い地域がみられますが、そこでは台風が北西進しています。この日は北陸地方を中心とした日本海沿岸地域で顕著なフェーン現象が観測されています。 

 また、熱帯太平洋上の北緯10°付近を東西に伸びる帯は熱帯収束帯(ITCZ)と呼ばれており、水蒸気の収束が一目瞭然です。

ssmi2.jpg

1999年7月31日のマイクロ波放射計(SSM/I)から推定された可降水量の空間分布
等値線間隔は5 mm、赤い領域ほど水蒸気量(鉛直積算)が多いことを示す。


(東京大学気候システム研究センター高藪縁氏提供のデータから作成)