[被害情報]
2012年 (平成24年) 12月5日から6日にかけて日本海上で急速に発達した低気圧の影響で少なくとも9都道府県で,重傷者を含む人的被害,建物被害,交通障害,ライフラインの障害などが発生した.
①北海道では,暴風の影響によって転倒事故9件,住宅被害133件,倒木や非住家の屋根の飛散などが多く発生した.交通機関においては,国道と道道の27路線30区間で通行止め,JRでは258本が運転休止,新千歳空港発着の35便,丘珠空港の12便などで欠航,全道各地の海上交通機関で57便の欠航などが発生した.ライフラインにおいては,送電線に不具合が生じ,47市町村 (苫小牧市や雄武町、猿払村など) の延べ約2万3千戸が停電となった.教育機関では、6日は89校、7日は241校が臨時休校となった.農業被害が胆振地方では92件 (被害額879万円),渡島地方では 69件,檜山地方では2件生じた.
②青森県では,軽傷1名の人的被害,住家一部破損6件の建物被害が生じた.交通機関においては,JR五能線で終日運転見合わせ,青い森鉄道で一部運休,航路津軽海峡フェリーで一部欠航,シィラインで全便欠航の障害が生じた.ライフラインにおいては,弘前市の378戸において停電が発生した.
③秋田県の5市町村 (秋田市,男鹿市,潟上市,大仙市,八峰町) でトタン屋根の剥離などの住家一部破損16件が生じた.農業関係においては,秋田市で農産物被害が1件 (ホウレンソウ,0.01ha),6市町村でハウス施設の一部破損などの被害が24件発生した.交通機関においては,JR各線で運休,遅延が多数発生した.ライフラインにおいては,5市町村の678戸で停電が発生した.
④山形県の遊佐町で強風による転倒事故 1件 (骨折),酒田市で農作業小屋の破損被害1件が生じた
⑤千葉県では,強風による転倒事故が3件 (軽傷) 生じた.また,住家の一部破損が1件生じた.交通機関においては,フェリー4便の欠航が発生した.
⑥新潟県では,重傷者3名,軽傷者10名の人的被害が発生した.建物被害は,住家の一部破損が1件,非住家被害が7件生じた.
⑦石川県の能美市では強風による転倒事故1件 (重傷) が生じた.建物被害は,輪島市で1件,内灘町で3件の一部破損の住家被害が発生した.交通機関においては,JRで72本の運休,24本の遅延が生じ,能登島大橋では一時通行止めの規制が行われた.ライフラインにおいては,金沢市と周辺地域の8,500戸で一時停電が発生した.教育機関では,13校で臨時休校,103校で始業時間繰り下げ,授業短縮や打ち切りが行われた.農業関係においては,14市町村で農業生産施設においてビニールハウス等の破損が300件 (被害額約2,100 万円),10市町村で約10 haの農作物被害 (大根,ねぎ等,被害総額約300 万円) が発生した.林業関係においては,小松市と加賀市で防潮護岸等の破損が3件 (被害額約3 億4,700 万円) 発生した.漁業関係においては,小松市と志賀町で防波堤等の破損が2件 (被害額約2 億3,000 万円) 発生した.
⑧福井県御前町の御前漁港において,高さ10.7 mの防波堤を越える高波が生じ,この影響で漁船1隻が転覆し,乗船中だった船員1名が重傷 (骨折) を負った.南越前町の白浜漁港では堤防の突端部 (約10 m) が傾く被害が生じた.交通機関においては,JRで72本の運休または区間運休,24本で最大4時間35分の遅延が生じた.
⑨鳥取県では,軽傷者1名の人的被害が生じた.交通機関においては,隠岐汽船のフェリーで全便欠航が生じ,国道488号線で全面通行止めの規制が行われた.隠岐の島町の都万漁港では小型漁船2隻の転覆被害が生じた.
[気象・海象状況]
この低気圧の影響で,九州から北海道までの広い範囲で降雨,降雪,暴風を観測し,特に北日本では大荒れの天候となった.12月6日には山形県酒田市で最大瞬間風速41.3 m/s,秋田県秋田市で最大瞬間風速30.4 m/s,北海道斜里町で日降水量49.5 mm,7日には北海道雄武町で最大瞬間風速36.7 m/s,8日には新潟県粟島浦村で最大瞬間風速33.0 m/sを記録した.
暴風によって,日本海の広い範囲で大しけとなり,12月6日には北海道上ノ国で有義波高10.0 m,北海道留萌で有義波高6.5 mを観測した.また,12月6日には福井県越前町の越前港で10.7 mの防波堤を越える高波が発生した.
12月6日には爆弾低気圧の中心近傍が位置していた北海道様似町でF0の竜巻が発生した.