台風データ
発生日時: | 持続時間: | ||
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最大発達率: | (N, E) | 最低中心気圧: |
- 経路
- アメダス
- 850hPa風速
- 天気図
- 衛星写真
- 可降水量
- 台風の特徴
- 2022年(令和4年)8月28日午後3時に南鳥島付近で発生した台風11号(HINNAMNOR)は,発達しながら西へ進み,30日に最大発達920 hPaをむかえた。9月1日~3日には勢力を弱めながら沖縄周辺に停滞し,その後は東シナ海を北上しながら再び勢力を強めた。5日に対馬海峡を通過し,日本海へと進み,9月6日午後9時に日本海上で温帯低気圧に変化した。
- 災害情報
[被害状況]
この台風の影響で,少なくとも26都道府県に人的被害や住家被害,交通・インフラ障害が生じた。また,韓国でも死者が出るほどの甚大な被害が発生した。
① 北海道では,人的被害として軽傷者2名,住家被害として一部破損18棟が確認された。
② 東京都では,住家被害として半壊1棟が確認された。
③ 新潟県では,人的被害として重傷者1名が確認された。
④ 富山県では,人的被害として軽傷者1名,住家被害として床下浸水3棟が確認された。
⑤ 石川県では,人的被害として軽傷者2名,住家被害として床下浸水2棟が確認された。交通障害として,JR北陸線(金沢-小松間)で運転を見合わせ,この影響で特急(大阪方面,名古屋方面)も運休となった。また,特急サンダーバードは強風のため,一部迂回運転となった。航空機は,小松空港発着の便で一部欠航した。白山白川郷ホワイトロードでは有料区間が全線通行止めとなった。
⑥ 山梨県では,住家被害として床下浸水2棟が確認された。
⑦ 長野県では,住家被害として床下浸水5棟が確認された。
⑧ 静岡県では,住家被害として床上浸水8棟,床下浸水88棟が確認された。
⑨ 愛知県では,住家被害として一部破損1棟,床下浸水1棟が確認された。
⑩ 三重県では,住家被害として床上浸水1棟,床下浸水16棟が確認された。
⑪ 滋賀県では,住家被害として床下浸水4棟が確認された。
⑫ 大阪府では,住家被害として床上浸水6棟,床下浸水37棟が確認された。
⑬ 兵庫県では,住家被害として一部破損2棟が確認された。交通障害として,神戸線(大阪-姫路間)で新快速電車を計画運休,神戸電鉄粟生線(市場-小野間)で一時運転を見合わせた。また,神戸淡路鳴門自動車道(洲本IC-鳴門IC間)で一時通行止めとなった。
⑭ 奈良県では,人的被害として行方不明者1名となっている。住家被害として床下浸水1棟が確認された。
⑮ 鳥取県では,人的被害として軽傷者3名,住家被害として一部破損6棟が確認された。
⑯ 島根県では,人的被害として軽傷者1名,住家被害として一部破損3棟,床下浸水8棟が確認された。交通障害として,出雲空港発着便で欠航となった。インフラ障害として,鹿足郡津和野町で通信障害が発生した。
⑰ 広島県では,人的被害として軽傷者4名が確認された。交通障害として,JR山陽新幹線(新大阪-広島間)で減便となった。
⑱ 山口県では,住家被害として一部破損1棟が確認された。交通障害として,JR在来線,錦川鉄道で運転見合わせが発生した。航空機は,宇部空港発着便で欠航となり,船舶も周防灘フェリー(柳井港-大分間)が欠航した。インフラ障害として,周南市と長門市で通信障害が発生した。
⑲ 香川県では,住家被害として床上浸水3棟,床下浸水8棟が確認された。
⑳ 愛媛県では,交通障害として,JR予讃線(伊予三島-新居浜)で運転を見合わせ,高速バスも関西や福岡便など一部路線で運休が出た。さらに,県内と九州や広島,山口を結ぶ船舶も一時欠航となり,航空機(松山-福岡間)も欠航した。
㉑ 福岡県では,人的被害として軽傷者3名,住家被害として一部破損6棟が確認された。交通障害として,JR山陽新幹線(広島-博多間),九州新幹線(博多-熊本間)で運転見合わせとなったほか,西日本鉄道の天神大牟田線や高速バスが運休となり,各路線バスや福岡市地下鉄も運転見合わせとなった。福岡空港,北九州空港発着便なども欠航が相次いだ。インフラ障害として,八女市で通信障害が発生し,一部で停電も発生した。
㉒ 佐賀県では,人的被害として死者1名が確認された。インフラ障害として,伊万里市と唐津市で通信障害が発生し,唐津市や伊万里市などで停電も発生した。
㉓ 長崎県では,人的被害として軽傷者1名が確認された。交通障害として,JRの特急や観光列車の運転見合わせや運休が発生し,長崎空港発着便が欠航となった。インフラ障害として,佐世保市,五島市,南松浦郡新上五島町,対馬市,平戸市,西海市で通信障害が発生した。また,強風による断線などで最大約3万3430戸が停電した。
㉔ 熊本県では,人的被害として軽傷者1名が確認された。交通障害として,JR特急や観光列車の運休が発生した。インフラ障害として,県内の一部で停電が発生した。
㉕ 鹿児島県では,交通障害として,JR在来線(鹿児島線や日豊線,日南線)や特急,肥薩おれんじ鉄道で減便や運転見合わせ,計画運休が行われた。九州新幹線(鹿児島中央-熊本間)でも減便となった。離島を結ぶ船舶も欠航となった。航空機は,鹿児島空港と奄美大島や徳之島を結ぶ離島便が欠航した。インフラ障害として,北薩を中心に一時3000戸以上で停電が発生し,長島町では通信障害が発生した。
㉖ 沖縄県では,人的被害として重傷者1名,軽傷者5名が確認された。住家被害として全壊1棟,一部破損2棟であった。交通障害として,宮古島空港や那覇空港を発着する航空便で欠航が相次いだ。宮古島と伊良部,池間,来間の三つの離島をつなぐ橋がそれぞれ通行止めとなった。船舶(水納海運,マルエーフェリー等)も100便以上が欠航となった。インフラ障害として,宮古島市を中心に県全体で最大6340戸が停電した。また,尻郡伊平屋村や宮古郡多良間村で通信障害が発生した。
[気象・海象状況]
31日,台風は猛烈な勢力で大東島地方を直撃し,北大東島で最大瞬間風速48.4 m/s(8月の観測史上1位)を記録した。1~3日に台風は先島諸島の南に停滞していたが,その期間中,日本列島にかかる秋雨前線を刺激し,太平洋側を中心に大雨となった。1日には,広島県甲田で73.5 mm(観測史上1位)を観測し,3日には,三重県桑名で90.0 mm(観測史上1位)を観測した。4日,沖縄県では先島諸島を中心に雨風ともに強まった。城辺で日雨量237.5 mmを観測し,鏡原では最大瞬間風速40.1 m/s の強い風を観測した。5日は,台風の外側の雲が九州地方を覆い,鹿児島県加世田で最大1時間雨量56.5 mmの雨が降った。北陸地方では南寄りの風が山を吹き降りるフェーン現象が発生し,石川県小松で最高気温36.2℃となった。6日に,台風が日本海を北東に移動した影響で,全国的に南風が強まり,長崎県厳原で最大瞬間風速44.7 m/s,鳥取県智頭で25.0 m/s(観測史上1位),塩津で22.9 m/s(9月の観測史上1位),島根県弥栄で25.1 m/s(9月の観測史上1位),掛合で23.7 m/s(9月の観測史上1位)を観測した。前日に引き続き,北陸地方ではフェーン現象が発生し,石川県金沢で最高気温38.5℃(観測史上1位),かほくで36.9℃(9月の観測史上1位)を記録した。また,海も荒れて,島根県西郷では85 cmの過去最高潮位を観測し,浜田では116cm,境では102 cm,熊本県苓北では199 cm,長崎県対馬比田勝では116 cmの潮位を観測した。