台風データ
発生日時: | 持続時間: | ||
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最大発達率: | (N, E) | 最低中心気圧: |
- 経路
- アメダス
- 850hPa風速
- 天気図
- 衛星写真
- 可降水量



- 台風の特徴
- 1998年(平成10年)10月11日,フィリピンの東で発生した台風第10号(ZEB)は北西へ進み,13日に猛烈な勢力となった後,14日にルソン島へ上陸した。進路を北寄りに変えて台湾の東海上を通過した後,北東へ向きを変えて17日に鹿児島県へ上陸した。四国や中国地方に再上陸した後,18日に温帯低気圧へ変わった。
- 災害情報
[被害情報]
台風10号の影響で少なくとも41道府県で人的被害,住家被害,インフラ障害,交通障害などが発生した。
①北海道では人的被害として負傷者1名,住宅被害として一部損壊3棟が発生した。また,道路損壊が2か所,山がけ崩れが1か所発生した。交通障害ではJR江差線湯ノ岱―江差間や日高線,根室線で不通となったほか,道道登別港線で通行止めが発生した。その他航空便や船舶の欠航も発生した。農作物被害ではリンゴの落果が発生した。水産業被害額は2億円に達した
②青森県ではインフラ障害として561戸で停電が発生した。交通障害としてJR大湊線で遅れや運休が発生し,船舶や航空便にも欠航が発生した。農作物への影響として,リンゴの落果の被害が発生した。
③岩手県では交通障害として,線路冠水のため東北本線で運休が発生した。また大船渡線でも倒木による遅れが発生した。
④秋田県では住家被害として3棟で一部破損が確認された。また航空便に遅れが発生した。農作物被害ではリンゴの落果が発生した。
⑤山形県では住家被害として一部損壊2棟が発生した。また交通障害としてパンタグラフにビニールが絡まった影響により,奥羽本線で遅れが発生した。
⑥福島県では住家被害として床下浸水1棟が発生した。
⑦群馬県では農業被害が発生し,被害額は9000万円に達した。
⑧栃木県では住宅被害として一部損壊2棟が発生した。
⑨埼玉県では人的被害として軽傷者1名が発生した。交通障害としてJR川越線大宮―川越間で上下28本が運休、12本に遅れが発生した。JR武蔵野線は18日午前6時35分~7時54分まで全線で運転見合わせ、上下54本が運休し、62本に遅れが生じた。その他土砂崩れによる道路の通行止めが発生した。
⑩千葉県では住宅被害として一部損壊3棟が発生した。また交通障害として強風によりJR京葉線などで運休が発生した。また東武野田線でも運休が発生した。
⑪新潟県では人的被害として重傷1名、軽傷4名,住宅被害として全壊2棟、半壊8棟、一部損壊146棟が発生した。インフラ障害では倒木などの影響により約2500戸で停電が発生した。交通障害では18日にJR羽越本線で特急一本が自力走行不能,白新線,越後線,上越線で特急1本,普通列車10本が運休となった。海上では佐渡汽船のジェットフォイル全路線全便が欠航,カーフェリーも直江津小木間と寺泊赤泊間全便,両津新潟間4便が欠航し,航空便は新潟空港で新潟―名古屋間の1往復が欠航した。
⑫富山県ではインフラ障害として停電が120戸で発生した。交通障害としてJR北陸本線で急行など13本が運休し,約700人に影響が出た。また農作物被害として果樹の落果,ネギやキャベツなど野菜の倒伏葉折が発生し,農業被害額は1億円に上った。
⑬石川県では人的被害として重傷1名,軽傷1名,住宅被害では半壊1棟,一部損壊5棟,床下浸水2棟が発生した。インフラ障害では停電が1330世帯で発生した。交通障害では北陸本線で列車18本が運休したほか,国道の通行止めが発生した。農作物被害として果樹の落果が起こり,被害額は2.9億円に達した。また水産物被害として定置網の破損が発生して,被害額は6900万円になった。
⑭福井県では住宅被害として一部損壊21棟,床下浸水1棟が発生した。また道路損壊6か所,山がけ崩れが7か所発生した。インフラ障害では停電が2275戸に発生した。交通障害としてはJR北陸本線で急行など13本が運休して約700人に影響を及ぼした。さらに有料道路エンゼルラインや国道で通行止めが発生した。
⑮山梨県では交通障害としてJR身延線で運転見合わせが発生し,上下線33本が運休した。
⑯長野県では住家被害として一部破損2棟が確認された。また道路損壊が2か所,山がけ崩れが2か所で発生した。インフラ障害として停電が11市町村で約1300世帯に発生した。交通障害では県道豊野南滋賀公園線と県道深沢阿南線が通行止めとなったほか,倒木によりJR飯田線で遅れが発生し,飯山線や大糸線でも運転見合わせが発生した。リンゴの落果といった農作物被害も発生し,被害額は4.3億円に達した。
⑰岐阜県では住宅被害として半壊1棟,一部損壊18棟,床上浸水3棟,床下浸水165棟が発生した。またインフラ障害として9700世帯で停電が発生した。交通障害として道路損壊が46か所で発生し,土砂流入による国道の通行止めや東海北陸道で通行止めが発生したほか,JR高山本線で運休や遅れが発生した。農作物被害では柿や梨の落果が発生し,被害額は21億円に上った。
⑱静岡県では人的被害として死者1名,軽傷2名が発生した。住宅被害では,全壊1棟,床下浸水3棟が確認された。また交通障害としてJR身延線で運休が発生したほか,国道362号などが通行止めとなった。
⑲愛知県では人的被害として軽傷2名,住宅被害では半壊1棟,一部損壊9棟,床下浸水4棟が発生した。またインフラ障害として25600戸で停電が発生し,交通障害として航空便や船舶の欠航が発生した。農業被害額は6.5億円に達した。
⑳三重県では人的被害として軽傷2名,住宅被害では床下浸水1棟が発生した。また道路損壊1か所,堤防決壊1箇所,山がけ崩れ1か所が発生した。インフラ障害では18日に松坂市,四日市市を中心に5600戸で発生した。交通障害では,16日に伊勢湾フェリー3便が欠航,三岐鉄道の東藤原駅―西藤原駅間と三重交通バスの上多気―下多気間が一時不通となった。
㉑滋賀県では人的被害として重傷1名,軽傷1名が確認され,住家被害として一部破損7棟,床下浸水12棟が確認された。インフラ障害として2300戸で停電が発生し,交通障害として県道や国道などの通行止めも発生した。
㉒京都府では台風や停滞していた前線により,住家被害として一部破損12棟,床上浸水43棟,床下浸水664棟が確認された。またインフラ障害として2800戸で停電が発生したほか,交通障害としてがけ崩れなどの道路被害が発生した。
㉓大阪府では住宅被害として一部損壊51棟,床上浸水22棟,床下浸水6棟が発生した。交通障害としては関西空港で12便,大阪空港で48便が欠航した。また道路崩土7か所,冠水4か所,がけ崩れ6か所,河川崩壊2か所が発生した。農作物被害では水稲やミカンの落果が発生した。
㉔兵庫県では人的被害として重傷1名,軽傷8名,住家被害として全壊1棟,半壊3棟,一部破損481棟,床上浸水39棟,床下浸水548棟が確認された。インフラ障害としては29000戸で停電が発生し,交通障害として高速道路や国道,県道で通行止め,船舶の欠航が発生した。高潮による浸水も発生した。
㉕奈良県では住家被害として一部破損2棟が発生した。インフラ障害として約2300世帯で停電が発生し,その他山がけ崩れや道路損壊,通行止めが発生した。
㉖和歌山県では人的被害として重傷1名,住家被害として半壊1棟,一部破損133棟が確認された。インフラ障害として40000戸で停電が発生し,交通障害としては道路損壊58か所,船舶,航空便の欠航,そして鉄道の運休が発生した。農業被害額はみかんの落果など32億円に達した。
㉗鳥取県では住家被害として全壊2棟,一部破損1棟,床上浸水40棟,床下浸水427棟が確認された。インフラ障害として740戸で停電が発生し,交通障害として路盤流出でJR因美線が運休,航空便と船舶の欠航が発生した。農業被害は42億円に達した。
㉘島根県では住家被害として一部破損23棟,床下浸水50棟が発生した。交通障害として航空便や隠岐と本土を結ぶ船舶の欠航が発生した。またがけ崩れや冠水などによる国道,県道の通行止めが発生した。JR木次線は線路の土砂流出のために運転を見合わせたほか,その他特急列車に運休が発生した。農業被害額は18億円となった。
㉙岡山県では人的被害として死者5名,行方不明1名,重傷9名,軽傷18名,住宅被害として全壊19棟,半壊10棟,一部損壊181棟,床上浸水2857棟,床下浸水4737棟が発生した。また道路損壊1945か所,橋の流失82か所,山がけ崩れ588か所,水産業被害155か所,林業被害426か所が発生した。インフラ障害として1万2335戸で停電が発生し,そのほか断水も発生したほか,交通障害としては道路損壊が1945か所に達し,瀬戸内海の離島を結ぶ船舶の欠航も発生した。農業被害額は96億円に達した。
㉚広島県では人的被害として死者3名,軽傷2名,住宅被害として全壊3棟,一部損壊16棟,床上浸水105棟,床下浸水911棟が発生した。また道路損壊が568か所で,橋の流失6か所で発生した。インフラ障害としては停電が発生した。さらに交通障害としてJR呉線や芸備線などで運休が発生したほか,航空便の欠航が発生した。各地で道路の損壊による国道の通行止めも発生した。農業被害額は34億円に達した。
㉛山口県では人的被害として負傷者2名,住家被害として一部破損1棟,床下浸水26棟が確認された。インフラ障害としては752戸で停電が発生し,その他交通障害としてJR線の運休や徐行,土砂崩れや落石による国道などの通行止め,離島を結ぶフェリーの欠航が発生した。
㉜徳島県では人的被害として軽傷1名,住宅被害では半壊3棟,一部損壊57棟,床下浸水16棟が発生した。また道路損壊66か所,山がけ崩れ7か所が発生した。インフラ障害では停電が19660世帯,電話不通が205世帯で発生した。交通障害では,航路が高速船徳島関空ライン10便,南海シャトルライン4便,南海フェリーが17日に9便,8日に6便欠航した。陸上は高速バスが徳島阪神間12便運休,5便足止め,一般路線バスは一部運休した。そしてJR牟岐線32本や高徳線が運休となった。さらに大鳴門橋が強風により通行止めとなり,国道や県道でも通行止めが発生した。航空便では東京線1便、大阪線1便名古屋線2便が欠航となった。
㉝香川県では住家被害として一部破損1棟,床下浸水4棟が確認された。インフラ障害として2652戸で停電が発生し,交通障害として鉄道の運休,航空便や船舶の欠航,国道や県道の通行止めが発生した。
㉞愛媛県では人的被害として死者2名,重傷1名,軽傷1名が確認され,住家被害として全壊8棟,半壊2棟,床上浸水185棟,床下浸水2119棟が確認された。インフラ障害としては7085棟で停電が発生したほか断水も発生した。交通障害として土砂が流入した予讃線など鉄道の運休が発生し,航空便や船舶の欠航,道路の通行止めも発生した。
㉟高知県では人的被害として重傷2名,軽傷1名が発生した。また住宅被害では一部損壊3棟,床下浸水45棟が発生した。交通障害としては航空便や船舶の欠航,鉄道の運休,高速道路や国道の通行止めが発生した。
㊱福岡県では住家被害として一部破損2棟,床下浸水1棟が確認された。また山がけ崩れが1か所で発生した。交通障害として福岡空港発着37便欠航、航路は高速船、フェリーが欠航した。
㊲長崎県では交通障害として17日は長崎航空全便,日本航空3往復,エアーニッポン鹿児島線,日本エアシステム1往復,全日空1便が欠航し,航路もほぼ欠航した。インフラ障害では長崎市神の島で一時停電が発生した。
㊳大分県では人的被害として死者1名,軽傷3名,住宅被害では半壊1棟,一部損壊7棟,床上浸水426棟,床下浸水1704棟が発生した。また道路損壊9か所,山がけ崩れ46か所が発生した。インフラ障害として3000世帯で断水が発生した。交通障害ではJR日豊本線,豊肥本線,久大本線とも運休,海上も欠航,空路も17日昼過ぎから欠航が相次いだ。農作物被害は水稲の冠水,倒木,野菜の茎折などが生じた。
㊴宮崎県では竜巻などにより,人的被害として重傷1名,軽傷2名,住家被害として半壊4棟,一部破損115棟,床上浸水25棟,床下浸水60棟が確認された。インフラ障害として300戸で停電が発生した。交通障害としては鉄道の運休や,航空便や船舶の欠航が発生した。また雨量規制や土砂崩れによる国道などの通行止めが発生した。
㊵鹿児島県では人的被害として軽傷1名,住宅被害として一部損壊2棟,床上浸水1棟,床下浸水87棟が発生した。停電が徳之島町約1100戸,名瀬市108戸,肝属郡佐多町200戸で発生した。交通障害は16日から18日の間、船舶や航空便で欠航が相次いだ。
㊶沖縄県では人的被害として死者2名が確認され,住家被害として半壊1棟,一部破損4棟,床上浸水2棟,床下浸水20棟が確認された。インフラ障害として3780世帯で停電が発生し,電話不通が36世帯で発生した。また交通障害では,航空便が16,17日で日本トランスオーシャン航空が30便,エアー日本が10便,琉球エアーコミューターが10便欠航し,航路では15,16,17日で離島航路の194便が欠航した。
[気象・海象状況]
先島諸島接近した16日には,沖縄県与那国島で最大風速28.0 m/s,最大瞬間風速43.6 m/sを観測した。また周辺の雨雲の影響により,鹿児島県喜界島では16日に1時間雨量55mm,日降水量247 mmを記録した。台風が日本列島を通過した17日から18日に,各地で雨風が強まった。高知県室戸市室戸岬では17日に,最大風速41.5 m/s,最大瞬間風速59.6 m/sを観測した。18日には,和歌山県和歌山市で最大風速29.3 m/s,最大瞬間風速53.8 m/sを観測した。台風が北上し東北の青森県青森市でも,18日に最大風速19.5 m/s,最大瞬間風速32.7 m/sを記録した。雨も強まり,大分県大分市佐賀関では16日に,1時間雨量84 mm,日降水量305 mmを記録した。高知県馬路村魚梁瀬では,15日から17日の3日間で459 mm,岡山県鏡野町恩原では17日に1時間雨量54 mm,日降水量219 mmを観測した。
瀬戸内海沿岸では高潮により潮位が上昇し,大阪府大阪市では最大潮位偏差,138 cmを記録した。