台風データ

発生日時: 持続時間:
最大発達率: N, E) 最低中心気圧:
経路
アメダス
850hPa風速

hPa(N,E)

最大発達率の地点(

 
天気図
衛星写真
可降水量
台風の特徴
1999年(平成11年)9月17日に南西諸島の南海上で発生した台風18号(Bart)は、発達しながら北東進し、21日午後に大型で非常に強い台風となり、強い勢力を維持したまま24日午前に熊本県北部に上陸した。その後、九州・中国地方を縦断し日本海へ抜けた。25日午前に北海道西部に再上陸し、北海道西岸を北東に進んだのち、同日午後にオホーツク海上で温帯低気圧に変化した。
災害情報

[被害情報]

この台風に伴う暴風と大雨の影響で少なくとも1道2府30県で人的被害、交通障害などが生じた。

①北海道では、負傷者4名、住宅の一部損壊77棟の被害が出た。インフラ被害として函館市や苫小牧市、室蘭市など合わせて約15,000戸で停電が発生した。交通障害では、航空・海上で欠航が相次いだ。また、24日から25日にかけて道内の在来線(JR函館本線、JR学園都市線など)にも運休が生じた。

②青森県では、住宅7棟に一部損壊の被害が生じた。台風に伴う強風によりりんごの落果被害などが生じ、農林業被害額は約27.5億円に上った。

③宮城県では、1棟に住宅全壊の被害が出た。

④秋田県では、住宅被害として住宅一部損壊7棟が発生した。

⑤富山県では、負傷者3名、床下浸水24棟の住宅被害が発生した。交通障害として24日の午後以降、JR北陸線やJR高山線で運休が相次いだ。

⑥石川県では、負傷者1名、住宅一部損壊5棟、床上浸水6棟、床下浸水166棟の被害が生じた。交通障害では県内の私鉄、JRで運休が生じた。また、小松市、山中町などであわせて2400戸が停電した。

⑦福井県では、住宅2棟に一部損壊の被害が出た。24日の午後を中心に県内の在来線(JR北陸線、JR小浜線、JR越美北線)で運休が生じたほか、新日本海フェリーが欠航した。また武生市の140戸で停電が発生した。

⑧長野県では、住宅被害として一部損壊1棟、床下浸水9棟が発生した。

⑨岐阜県では、人的被害として負傷者1名が発生した。住宅被害では全壊1棟、半壊3棟、一部損壊3棟、床上浸水112棟、床下浸水549棟が生じた。台風の接近に伴う雨の影響で、美濃市内の東海北陸自動車道の法面が崩落するなどのインフラ被害が生じた。

⑩愛知県では、24日台風の接近に伴い豊橋市などで4つの竜巻が発生し、負傷者453名、住宅全壊41棟、半壊310棟、一部損壊2,338棟、床下浸水3棟の被害が生じた。交通障害として、JR東海道新幹線やJR東海道線の一部区間(豊橋-二川間)で運休が生じた。また、豊橋市を中心に9,700戸で停電が発生した。

⑪三重県では、住宅被害として一部損壊1棟、床上浸水1棟、床下浸水29棟が生じた。交通障害では土砂崩れによる通行止めが発生したほか、県内の在来線や鳥羽市定期航路で運休、欠航が相次いだ。

⑫滋賀県では、床下浸水19棟の住宅被害が発生した。

⑬京都府では、人的被害として負傷者3名が生じた。住宅被害では、住宅全壊2棟、一部損壊6棟、床上浸水18棟、床下浸水287棟が発生した。24日には北近畿タンゴ鉄道全線が運休、日本海フェリーが欠航するなどの交通障害が生じた。

⑭大阪府では、負傷者1名、床下浸水208棟の被害が発生した。交通障害では、関西国際空港を発着する国内線62便、国際線27便が欠航し、多くの海上交通も運航を見合わせた。

⑮兵庫県では、負傷者17名の人的被害が出た。住宅被害として全壊1棟、一部損壊10棟、床下浸水11棟が生じた。交通障害として、神戸淡路鳴門自動車や県道長坂垂水線で強風による通行止め、山陽新幹線やJR神戸線で運休が生じた。インフラ被害では姫路市を中心に約27,500戸が停電した。

⑯奈良県では、床上浸水97棟、床下浸水931棟の住宅被害が発生した。

⑰和歌山県では、人的被害として負傷者5名が生じた。交通障害では、23日から24日にかけ南海フェリーなど海上交通で欠航が発生した。

⑱鳥取県では、負傷者5名の人的被害、住宅一部損壊4棟の住宅被害が出た。

⑲島根県では、負傷者4名の人的被害が出た。住宅被害として、住宅全壊1棟、半壊2棟、一部損壊78棟、床上浸水15棟、床下浸水580棟が生じた。強風の影響で隠岐航路が欠航するなどの交通障害が発生した。

⑳岡山県では、人的被害として死者1名、負傷者1名が生じた。住宅被害では、住宅一部損壊4棟、床上浸水1棟、床下浸水104棟が発生した。交通障害では津山線や姫新線が運休した。また、中国自動車未知の院庄から佐用インター間で大雨による通行止めとなった。

㉑広島県では、死者5名、負傷者60名、住宅全壊4棟、半壊10棟、一部損壊1,747棟、床上浸水153棟、床下浸水1,037棟の被害が生じた。県内のJR山陽新幹線や山陽線などで運休が発生した。また、強風による広島港の桟橋損壊、大雨による広島西飛行場の浸水などの影響で航空・海上で欠航が相次いだ。水産業被害として、カキ養殖いかだが損壊、流失し、被害額は約17億円に上った。文化財では、厳島神社の左門客神社が全壊するなどの被害が発生した。

㉒山口県では、台風および台風に伴う竜巻(F2スケール)、高潮の影響により、人的被害として死者3名、負傷者178名、住宅被害として住宅全壊80棟、半壊1,283棟、一部損壊10,745棟、床上浸水2,492棟、床下浸水7,843棟が生じた。インフラ被害では、高潮によって山口宇部空港で堤防が12ヵ所決壊したほか、上市、下市などでも防潮堤が決壊する被害が発生した。県内の鉄道(新幹線や在来線)および高速道路、国道では運休、通行止めが相次いだ。

㉓徳島県では、住宅1棟が半壊する被害が生じた。インフラ被害として、勝浦群羽ノ浦町など併せて11,397戸で停電が発生した。交通障害では、JR土讃線の阿波池田―窪川間などで運休が発生したほか、空路・海路で欠航が相次いだ。

㉔香川県では、人的被害では負傷者4名が出た。大野原町で981戸が停電した。交通障害として、JR瀬戸大橋線が運休、高松自動車道の一部区間などで通行止めとなった。また、高松と東京、札幌などを結ぶ航空便にも欠航が発生した。

㉕愛媛県では、負傷者9名の人的被害が発生した。住宅被害では、床上浸水2棟、床下浸水7棟が生じた。強風の影響でにより、県内10市で停電が発生した。

㉖福岡県では、死者4名、負傷者12名、住宅全壊6棟、半壊123棟、一部損壊2,855棟、床上浸水504棟、床下浸水1,026棟の被害が発生した。インフラ被害として、県内で51,200戸が停電した。交通被害では、新幹線や在来線が運休したほか、九州自動車道、都市高速などで通行止めが生じた。

㉗佐賀県では、人的被害として負傷者1名が出た。

㉘長崎県では、人的被害では負傷者1名が生じた。住宅被害としては、半壊2棟、一部損壊390棟、床上浸水9棟、床下浸水33棟が発生したほか、竜巻によって39世帯で窓ガラスが割れたり瓦が飛ばされたりする被害が生じた。交通障害として、長崎自動車道が一時通行止めになったほか、航空や海上で欠航が発生した。

㉙熊本県では、台風の接近と満潮の時刻が重なったため、八代湾の堤防が決壊し、死者16名、負傷者309名、住宅全壊144棟、半壊1,684棟、一部損壊60,453棟、床上浸水925棟、床下浸水942棟の甚大な被害が発生した。インフラ被害では、県内の鉄塔13基が損壊した影響で、県内全世帯の約半数が停電した。農業関係の被害額が530億円を超えたほか、文化財である熊本城の西大手櫓門が倒壊する被害が生じた。

㉚大分県では、死者1名、負傷者32名、住宅全壊8棟、半壊59棟、一部損壊5,694棟、床上浸水56棟、床下浸水481棟の被害が生じた。インフラ被害として、24日の午前を中心に大分管内で50,400戸、玖珠管内では16,900戸など県内全域で168,100戸が停電した。農業被害では、水稲の倒伏や果物の落果が発生し、被害額は約200億円に上った。

㉛宮崎県では、死者1名、負傷者3名の人的被害が発生した。住宅被害では、住宅半壊2棟、一部損壊58棟、床下浸水2棟が生じた。インフラ被害として、日之影町や西米良村の国道の損壊、西都市などでかけ崩れが発生した。

㉜鹿児島県では、負傷者71名、住宅全壊39棟、半壊120棟、一部損壊22,954棟、床上浸水6棟、床下浸水77棟の被害が生じた。強風の影響により、阿久根市を中心に停電が発生するなどのインフラ被害が生じた。農林水産被害では、稲作や漁船等に被害が生じ、その被害額は約140億円に上った。

㉝沖縄県では、人的被害として負傷者33名が生じた。 住宅被害では、住宅全壊15棟、半壊30棟、一部損壊195棟、床上浸水550棟、床下浸水329棟が発生した。インフラ被害として、平良市で1,348世帯、城辺町で724世帯が停電した。交通障害では、21日から22日かけて、県内の航空、海上交通において全便欠航となった。

[気象・海象状況]

 この台風の影響により、沖縄県那覇市では期間降水量が555mm、宮崎県諸塚村では486mm、岐阜県荻原村では486mmなど、各地で400mmを超える大雨を観測した。21日には、山口県萩市で最大1時間降水量88mm、岐阜県金山町で86mm、山口県周南市和田で81mmを観測した。24日には、熊本県牛深市で最大瞬間風速66.2m/sを観測した。

 22日には沖縄県喜屋武岬で有義波高8.68m、24日に鹿児島県佐多岬で6.09mmの波浪を観測した。